（亨保三年三月の判決例）
八官町木戸番人 久助
此者を南鍋町二て町目七郎右衛門店、佐次兵衛、請人に立て、番人に出置候同町八右衛門店三郎兵衛方に、武蔵尾久村九兵衛の娘きちと申す九歳に罷成候ものを預り置候処、当月七日、此者、きちに無体の密通いたし、病気つき候故、引き取り養育致候様に申候得共、合点不致候由、三郎兵衛訴訟申候に付き、当月十六日双方召出し、吟味の上、相違無之、誤り候由久助申レ之、右娘儀は此者請人佐次兵衛、並びに家主七郎右衛門方より急度養生致し、毎月様子訴へ出づる様 申付け、此者事善七に預け遣はし、今日内寄合へ召出し、列座へ令レ聞、先達而申付候通り、右娘は三郎兵衛方に差置き、養生の儀は此もの宿並に家主方より養生致候様に申付け、南鍋町名主文蔵儀は先達て召出し候節、当人共延口願候刻、罷出で可伺処に、打ち捨て置き、腰かけより罷帰り候段、不届に付、今日召出し、外の公事合とは違ひ候の儀、粗末の仕形に付き、押込に申付、此者は右の通り法外なる仕形に付牢介、右の者依二御差図一遠島申渡す。（科号類典）