産婆

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中条ばかりではなく、産婆でも堕胎をやったものは金儲けが多かったもので、西鶴の『日本永代蔵』に『今の世の中に取手の師匠が取り上げ婆々より外に銀になるものなし』といふ文句があります。取上げ婆々とは言ふまでもなく産婆のことですが、此文句から考へましても、産婆には堕胎を副業として暴利をむさぼった者の如何に多かったかを推測することが出来ます。京伝の『優営華物語』にも『おもては、子を取り上ぐることを業とし、或は堕胎の薬を売り或は人の子を間引き云々』とあるのも、子おろしや間引をやった産婆の尠くなかったことをしめして居ります。