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しかし、富をつくることは出来ても、何しろ非人道な職業ですから、流石の彼等も良心に咎める処があって世間に気兼ねをし、我家の門前に水をうつ時などにも、あから様に顔を出さずに、例の暖簾の下から手だけを出して水を打つ者もありました『中条は手ばかり出して水を打ち』といふ川柳は之を詠んだものです、又た彼等は世間に自分の職業を広告する引札を市中に貼る時にも人眼を憚つて白昼を避け、夜分に貼ったものらしい。それは『子おろしの札は夜来て貼ると見え』といふ川柳に徴して推測することが出来ます。