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『松屋筆記』に『今の世、中条流子おろしの術都下に遍満せり。堕胎の薬技を施すことなり』とあります。江戸市中に中条流の女医の盛んに行はれたことが此記事に徹しても判かります。随つて彼等の中には金儲けが多く、その蓄積した富で金貨しをしたり又は土蔵などを建てたりした者のあったことは『恐しき中条金を貸すうはさ』とか『中条はむごつたらしい蔵をたて』とかいふ川柳を見てもその一班を知ることが出来ます。