しかし、又だ一家の貧窮なるがために堕胎を行った者も尠くありません。『婦人寿草』に『世俗貧乏にして家業薄く嗣続を厭ふものあり。懐胎あれば堕胎の薬をもらひて胎をおろす云々』と見え、又『修身談』にも『俯察民俗、則貧困甚矣。是故民情斉狙点、而薬殺胎孕、或虐殺生児』とあります。