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男娼と最も深い関係を有つてゐたのは、御殿女中です、禁欲生活を余儀なくせられた御殿女中が本能を抑制することの出来ないがため、勢ひ売色稼業の男娼に接触するやうになりましたのは当然の結果でした。蔭間にも踊や三味線の心得があるものも在りますから、御殿女中の酒の相手に出て面白く座を取りもつたものです。三代目歌川豊国の描いた浮世絵に、一人の御殿女中が女装した三人の蔭間に取りまかれて酒宴をしてゐる絵があります(宮武外骨氏の著『筆禍史』中に掲載せり)