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しかし、寺小姓や喝食は無論純然たる男娼ではありません。男娼といへば誰れ彼れの差別なく同性愛を好む男子に身を委ねて之に対する報酬を要求するものを指すのですから……。こう云ふ特殊の純然たる男娼は今の先きB君の考証された如く夙に鎌倉時代に起つて主に僧侶を顧客にしてゐたのですが、併しその当時の所謂『児店』に関する記録が室町時代の刊本に最早や見当ることが出来ないとすれば恐くは消滅して男娼を買ふ風が中絶し、寺院内に美童を買ひ取つて、之を寵するやうな結果となつたことゝ思はれます。