性欲顛倒に由る女嫌ひ

第二種の女嫌ひは、性欲顛倒のものに認むる処で、即ち異性を受せずして同性を愛するものである。世に所謂女嫌ひの中には之に属するものが最も多い。這般の性欲異常なるものは、如何に佳人麗姫を見るも毫も心を動かさず、且つ一般に女性を嫌悪するものである。但し同性の愛には先天性及び後天性の二種があるが、後天性のものに於ても、久しく之に耽るものは遂に女嫌ひになって了ふ。希臘古代の学者ヘシオード、シモニデス、ユリビデス等が女嫌ひであったのは、イワン、プロッホの云った如く、当時希臘に広く行はれたる男色と密接の関係あったことは殆ど疑がない。